儚さは白

白は始まりの色。

漢検のすすめ

二ヶ月ほど前、書店で漢検二級の問題集をちらりと覗いて見たところ、震えが止まらなくなった。難易度は「高校卒業程度」。どうやら高校を卒業できていなかった模様。漢字を書くということが少なった現代社会を呪いつつ、申し込みを済ませたのが懐かしい。

CMを発端に世に広まった「今でしょ!」の台詞が漢字の勉強を軽視する受験生に対して発せられたというエピソードはあまり知られていない。テキストを見ると分かるが、いかに普段使用している語彙のレベルが拙いかを実感する。途中、一ヶ月超の空白期間を経ながらも何とか休み休み勉強を行った。きっと合格しているものだと信じたい。

さて、授業と授業の合間に試験勉強をしていると何人にも訊かれたものだ。「何で受けるの?」と。なかなか難しい質問である。「テキストを開いた時に自分の実力に絶望したから」と答えるのも正しいかもしれないが、どこか違う気がした。自分の本心と向き合うのは苦手である。

「漢字を書けないと恥ずかしいじゃん」

結局はその返答に帰着した。何て惚れ惚れする回答だろうか。実に素晴らしい。

試験が終了して、家へ帰るために地下鉄に乗ることにした。二度の乗り換えに失敗し、六回も電車に乗ることになってしまった。高校どころか、中学校も卒業できていなかったらしい。これがゆとりの現状である。