儚さは白

白は始まりの色。

空に憧れて 空をかけてゆく


夏の空は憎いですが、夏の夜空は大好きです。

最近は下を見ている人が多いと思います。主にスマホのせいで。

どうして昔の人は星空に物語を紡いだのでしょう。きっと空を見上げていたからに違いありません。街灯もない中、頼りになるのは月光や星明かりだけで、夜は自ずと上を向いていたのかもしれません。星々を指差しながら、「あれとあれを繋ぐと……」なんて具合に。いや、見上げてばかりでは躓いてしまいますね。やっぱり下を向くのは大事です。

ディスコ探偵水曜日』にこんなことが書いてありました。

「星が綺麗だから皆が好きになる訳じゃない」と僕は重ねて言う。「星のきらめきがそれほどの力を持つんだとしたら天文学クラブの地位はカフェテリアの真ん中で、ダナ・ストライムズとかチアリーダーとかフットボール部とか、とにかくお揃いのブルゾンなんか着て喜んでる阿呆どもなんて押しのけてるはずだろ?何しろパーティの行き帰り、ふと空を見上げればそこにはいろんな種類の神話と絵画があり、深い謎があり、広い広い空想の余地があるんだから。でも誰も空なんてじっと眺めないし、僕らは奴らの目に映らない場所でこっそりランチを食べている」


日頃から空を見上げていると色々なことがわかります。

今日の青の色は薄いだとか、もうすぐ満月だなとか、西の空模様だとか。

それを知ったところで日々の生活が豊かになるわけではありません。ただ、落ち込んだときや気分が晴れないときに空を見上げると、少しだけ心が軽くなります。

そんな「少し」に救われる日だってあるはずです。

誰にでも平等に空はあります。誰だって救ってくれます。僕はそういうところがたまらなく好きなんです。スマホを眺めている場合じゃありませんよ。