儚さは白

白は始まりの色。

ひとりでないと見えないもの

ひとりになりたいときがある。

僕はずいぶん前から、自分の世界が周囲に侵食されてゆく気配を感じていた。
それは歳を重ねるにつれて、社会が他者との協調性を強く求めるようになったからかもしれないし、単純に他人の干渉が大きくなってきたからかもしれない。
どちらにせよ、何かとてつもない流れに自分が飲み込まるのではないかという恐怖感があった。その波に抗うため、自分の世界を必死に守らなければいけなかった。


「自分探しの旅に出る」ということを言う人がいる。すかさず、「そんなものはどこにも落ちていないよ」と横槍が飛んでくる。「自分は自分の中にしかいない」のだとか、かんとか。

僕は両者の意見を肯定的に受け入れている。自分はどこにも落ちていないが、ときに自らのコミュニティから抜けだして、周囲のノイズをシャットダウンする必要があるだろうと、そう考えている。

だから僕はひとりになって、色々なことを静かな場所でゆっくりと思う。
そうすることで、自分の世界を守っている。


ここ数日はめまぐるしい日々だった。
そこに僕は存在していただろうか。