儚さは白

白は始まりの色。

雪の思い出


目覚めると外は銀世界だった。
今年初の積雪。それも、大雪だ。

カメラをカバンに入れ、いつもよりも早めに家を出た。

何もかもが真っ白。
吐く息も、木々も、空も、何もかもが白色。

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北国の住人じゃないから、雪はいつだって新鮮だ。
ある日突然世界が変わって、あっという間に元へ戻って行く。その光景は、僕にとって「冬の桜」とも言える。

小学生のとき、記録的な大雪が降った。確かあのときも12月の暮れだったと思う。

授業は中止となり、全校生徒で雪遊び。ゆとり教育の賜物だ。

僕らはかまくらを作った。
日陰から残雪を調達し、来る日も来る日も溶けゆくその作品を守り続けた。

それでも終わりはやってくる。校庭中を染めた白色は、校内の畑の一角を残すのみとなり、それは最早かまくらとは呼べなくなっていた。

雪が降る度、いや、雪が溶ける度に僕は当時の記憶を思い返す。終わると知っているものに執着して、必死に現実と対峙していたあのときを。

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「冬の桜」はいつ咲くかわからない。来年また見られるとも限らない。

昨日と今日も、今日と明日も違う。だから面白いのかな、なんて思ったりして。