儚さは白

白は始まりの色。

いざ、鳥取砂丘へ(一日目)

四月の頭が見え始めた頃、やっとの思いで二日間の休みをとって、鳥取砂丘を目指しました。
これはそんな小旅行の思い出です。



インターンシップを終え、とうとう春休みがやってきたはずなのに、思えば常に何かに追われていた三月でした。

ふと近所の公園に立ち寄れば、いつの間にか桜が咲いていて、時間の流れに流されている自分に気付きました。

行かなければいけません。何処かへ行かねばなりません。

5冊の文庫本と1泊分の着替えをリュックに詰め、2回分だけ残った青春18きっぷを手に、名古屋駅を跡にしたのは朝の7時。

朝の7時です!

少し早すぎます。「鳥取に来る覚悟はあるか」と、鳥取の誰かに試されているかのようでした。

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基本的に18きっぷでのお出掛けは、電車に乗って、降りて、乗り継いで、乗り継いで、乗り継いで、降りる、それだけです。

だから文庫本が要るんです。単調な旅の些細なスパイスです。

姫路(ひめじ)の「め」の写真を載せます。

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兵庫県竹田駅で下車した僕は、小高い丘の上にあるという竹田城跡を見上げました。

灰色の空の中にその城壁を見て取れましたが、行くのも面倒だったので、お花見して帰るつもりでした。

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駅の裏手にある神社で「無事に鳥取まで辿り着けますように」とお祈りし、北へとつづく旧街道を歩きました。

細切れの雨に濡れるアスファルトの匂いは春の訪れを感じさせました。

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しばらく歩くと、右手には寺へと通じる道が現れました。

無事に鳥取の地を踏むには今一度お参りしなければいけないと思い、そちらの方向へ曲がると、「竹田城跡まで30〜40分(健脚者向け)」と書かれた看板が姿を表しました。

迷わぬ限り、後には引かぬが旅行と云うものです。

足元はカジュアルスニーカー、折り畳み傘を片手に持ち、急勾配の登山道を進みました。つらみ溢れる日もあります。

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竹田城は雨だというのに観光客で溢れていました。観光バスに揺られて、たくさんの人が訪れるのだそうです。

ミーハー同士、繋がる何かがありました。

さて、竹田城は廃城から400年以上が経過しているのですが、見事な石垣を見ることができます。

しかし近年の観光客増加で城跡の保存状態が悪化したため、ちょうど今年からロープを張るなどの対策を始めたのだ、とサングラスをかけた厳ついおじちゃんに教えてもらいました。

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登山を終えたあたりから一時的に雨も止み、虹が架かりました。僥倖ってやつです。

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山を下り、電車を待つまでの間、街を散策しながら考え事をしていました。

電車には色々な人が乗り込み、降りていきます。数名の女子高生と隣合わせたときのことです。彼女たちは他人の悪口を話題に盛り上がっていました。

それを少し腹立たしく思う自分に驚きました。受け流す余裕がなかったのです。そういえば、最近は苛立つことが増えた気がします。感情を表に出すことはない分、鬱憤が溜まっているのかもしれません。ここのところバタバタしていたのが関係しているのでしょうか。もともと怒ることがないので、この感情をどう処理すべきか戸惑いました。

いつも心に余裕を。旅行中に思い出した言葉です。

取り敢えず真っ先にTwitterのアプリを消しました。余裕は時間からつくります。

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途中、乗り換えで時間ができたので豊岡駅で一旦降り、日吉神社というひっそりとした社でお祈りです。

何となく熊野神社に似ていませんか。似たような構図で撮ったからかな……。

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結局は浜坂駅でカメラを仕舞いましたが、鳥取駅には無事到着しました。

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鳥取砂丘は間もなくです。