儚さは白

白は始まりの色。

春が来るね

そういえば先週の木曜日、好きな人と同じバスで帰ったとき、「春の研修は同じ日程で申し込もうよ」と誘われた。

今年度の関西研修は、申込人数の関係でふたりとも別日程だった。

 

思い返せば、一緒にここへ行こう!と誘われたのは初めてのような気がする。

いつも、気になった場所を挙げてもらうことはあっても、そこに誘うのは自分からだった。

 

嬉しかったっていう、それだけの話。

 

明日、バレインタインのチョコもらえるのかなあ。。。

君が必要

同期入社の知り合いが着々と仕事を任せられている中、自分は周りにおんぶされっぱなしである。上司は「着々と成長しているよ」と言ってくれるが、仕事をしているという感覚がまったくないため、進歩の自覚がない。

それに加えて、上京しても友達が増えない現実。どこにいっても孤独を感じてしまう。

構ってちゃんな表現を選べば、仕事でもプライベートでもひとりだった。必要とされたかった。

 

「必要とされたいよね」と、少々面倒なセリフを吐いてしまったとき、社食を一緒に食べていた女の子が「うちには○○くんが必要だよ!」と応えてくれた。うるっときた。

 

生きる力が湧いた、先週のハイライト。

告白した

春に就職して、初夏に部署へ配属された。希望していた部署ではなかった。大学で研究していた分野を仕事にしたかった僕は戸惑った。人事担当者に「ほんとうですか」と何度も訪ねた。とはいえ、決まったものが覆るものでないことは自分でも分かりきっていた。研修先から移動するために丸一日で荷造りを終えて、僕は上京した。シティーボーイになった。

同じ事業部にはもうひとり同期が配属された。研修時に暮らしていた借り上げのアパートで隣部屋だった彼女とは、ふざけた話もできる間柄だった。関東に顔なじみも少ない僕は、毎週のように彼女と遊ぶようになった。仕事終わりに食事に行くこともあれば、イルミネーションを見に出掛けたこともあった。休みの日にはレンタカーを借りて遠出したり、果物狩りや花火大会にも行ったりもした。気付けばなんでも話せる仲になっていた(と僕は思う)。

いつから好きになったんだろう。最初からのような気もするし、ここ最近のような気もする。

いずれにせよ、少しずつ好きという気持ちが積み重なってきたんだなあと強く思う。だからというか、一緒にいると安心できるし、彼女が笑えば僕も楽しいし、とにかくふたりで過ごす時間が尊いと考えるようになった。

ただ、残念なことに脈がなさそうだった。友達としてしか見られていないんだろうなとはいつも思っていた。これから続く同僚という関係にヒビが入ることを恐れていた。気持ちを伝えていいのかが分からなかったし、いつも喉元まで上がってきた言葉を声に出してもいいのか悩んでいた。告白する機会は何度もあったのに。

先週末、もう誰にも渡したくないと思った瞬間があった。ずっと隣にいたいと思った。とにかく告白したくなった。いつもふたりで食べている社食の時間に、僕は唐突に好きだと伝えた。彼女は不意打ちすぎると答えて大笑いしていた。僕もつられて笑ってしまった。拍子抜けしてしまうくらい、締まらない告白になってしまった。

ちなみにそのとき、口周りを黒くしながらイカスミカレーを食べていた彼女は格別に素敵だった。

ちょっと考えてくれると嬉しいと伝えたとき、僕の手はなぜか痺れていた。

あああああ!頼むよ恋の神様!この気持ちを成就させてくれ!!

人生、なかなか上手くはいかない

 

簡単に投稿できると思っていた論文には教授からダメ出しを受け続け、結果的に完成するまで1ヶ月を要してしまった。海外留学プログラムの申請にいたっては、「自分がなぜ海外に行きたいのか」という根底を見つ直すあまり、精神が日々摩耗してしまった。教授の前で流した涙に果たして意味はあったのかと思う。

 

そして、行き着くまもなく就職活動が始まった。企業説明会、エントリーシート、そして面接と、御社と結婚するまでにはいったいいくつのドアを開けなければいけないのだろうか。明後日には初めての面接試験が待っている。英語で面接できるだろうか。専門分野の筆記試験とは何なのだろうか。心臓がバクバクである。

 

僕は、どこへ向かっているのだろうか。何もかもが中途半端な結果に終わらぬよう、必死に毎日を過ごそうとしているが、なかなか上手くいかない。

どうでもいいことばかりに目が向き、やることリスト上位には一向に手がつかない。同じ過ちを何度繰り返す気だ!目を覚ませ!!

 

知らず知らずのうちにレールに乗っている。誰がシナリオを書くのか。

夢破れて

海外インターンシップの選考を通過することができなかった。

 

来年度の1年間、某省から給付奨学金をもらって某地域の企業でインターンできる某プログラムに応募していた。この2年で3度目の挑戦。今年は初めて書類選考を通過し、国内の面接も乗り越えた。ただ、最後の最後、現地企業とのマッチングが成立しなかった。

気持ちを切り替えるために、これまでのことを順を追って整理しておこうと思う。

1次試験

今年が最後の挑戦だろうということは十分に分かっていた。このプログラムの準備のために、夏休みに参加した別の海外インターンシップを一ヶ月で切り上げて、帰国した。その甲斐もなく書類の作成は結局、提出期限のギリギリに完成した。

担当教授だけでなく学長先生にまで協力していただいた。推薦状の執筆依頼から、自身の応募書類の英訳、封筒の宛名書き、何から何までが切羽詰まっていたが、最終的に納得のいくものを作り上げ、提出することができたと思う。

 2次試験

2次試験の面接にあたっては、端的に伝えたい事を伝える力の大切さを学んだ。これに気付くことできたのは、宝だと思っている。面接の練習にお付き合いいただいた先生方に感謝している。

実際に面接を受けると、日本を代表するような大学の学生が長々とまとまりのない意見を述べていた。人は面接で3行以上のことを聞いていられない。面接は所信表明演説じゃない、会話をしなければ意味がない。これは僕が教わった面接で心がけるべき大切さの一部である。簡単に聞こえるようで難しい。必要のない情報は喋らない。むしろ喋ってはいけない。自慢話もいらない。100%伝わることだけを伝える。

グループディスカッションでは結果をまとめられなかった。ただ、自信だけはあった。あの出来で評価されなかったら、何が評価されるのか、と。結果、国内選考に合格した。

最終選考

トントン拍子で進んでいると感じていたが、ここから先の厳しさは自覚していた。同じ企業をもう一人が志望しており、そこを落ちたら専門に一致する企業はほぼ残っていないに等しかった。その企業だけに照準を絞ってプログラムに応募していたといっても過言ではなかった。

電話面接がキーだったのかもしれない。顔の見えない相手との会話がこれほどまでに難しいとは知らなかった。表情が読めない、会話の終わりが分からない。率直に、英語力が足りなかった。書類で埋められない壁があった。結局、第一企業も、第二志望の企業もマッチングを成立させることはできなかった。準備をしても勝てなかった。

選考を終えて

僕のチャレンジは終わった。通過した他の学生を羨む気持ちは湧かない。少しの運と実力が足りなかっただけだ。だけど、「仕方ない」と割り切ることはできない。ここまで応援してくれた人たちにただただ申し訳ない。(実際にはプログラムに応募していることは研究室外の人には話していなかったが、1度だけ伝えたらあっという間に広がってしまった。噂は怖い)

特に指導していただいた先生方にはなんと謝ればいいのか分からない。また、共同研究をしているお二方からもいつかの朝の8時に電話面接のアドバイスが届いた(寝起きだったが嬉しかった)。研究室のメンバーには「大丈夫だよ」と何度も励ましてもらった。にも関わらず、ダメだった。期待を裏切ったことに耐えられない。

 

そして……

今回の応募には、それまでの2回とは明らかに違うモチベーションがあった。春に欧州の音大へ旅だった女の子を追いかけたかった。彼女は僕の夢だった。自分のためにストイックに努力する姿に憧れていた。彼女のことが好きだった。

このプログラム以外なかったのだ。旅行で行けばいいとか、留学の機会は別にあるとか、また来年頑張ればいいとか、そういう意見は少し間違っている。海外で働いてみたい、欧州のスタンダードを吸収したいという自分の目標が本流で、彼女を追いかける夢が本流ではない(いや、本流ではあるのだがうまく説明できない)。目標と夢がマッチングしていたのがこのプログラムだった。

僕は夢を失ってしまった。目標も学生時代のうちには達成できないだろう。すべてが終わってしまった。

今回の応募で得たものはそれなりにあるが、その使い道が分からない。そう、とにかくダメだったのだ。ダメだった。悔しさのぶつけどころがない。申し訳無さが消化できない。何もかもが終わり、何もかもが消えてしまった。

 

もう今は何もない。

好きになってよかった。好きだと言えてよかった。

 
音大生の女の子は春から欧州へ渡ってしまう。
その話を聞かなければ、僕は彼女を食事に誘うことはなかったのかもしれない。

はじめての食事の席で、僕は彼女の魅力に引きこまれたしまった。
性格も、考え方も、ふとした仕草さえも僕の心を掴んだ。

好きになってしまった、そう思った。


僕は春が好きだ。街はカラフルに色づき、気候も陽気で過ごしやすい。
ただ、三月は嫌いなんだ。必ず別れがやってくるから。
桜は散っても次の年にまた花を咲かせるが、別れた人とはまた会えると限らない。
僕はどうしても名残を惜しんでしまう。

だからきっと、彼女を好きになったのは、もう会えなくなるかもしれないと思ったからだろう。
あるいは、居なくなるから好きだと気づいたのかもしれない。

どちらにせよ、別れがトリガーだったことに変わりはない。


彼女が一旦、東京へ帰る前日に僕はもう一度食事へ誘った。
忙しいのにも関わらず、彼女はそのお願いを快諾してくれた。

「海外へ行くのがベストってわけじゃないんです」
「演奏しているとき、楽しくないですよ」
「人の心配をする時間があれば、自分の時間に充てたいです」

彼女が放つ言葉の奥に何があるのか、僕は分かっている。
考え方が同じなんだ。2を聞いただけで8を理解できる。足りない言葉も耳に届く。

好きの気持ちが止まらない。
こんなにも穏やかな「好き」は久しぶりだった。

「これまでの恋人とは毎日顔を合わせていた」という彼女に対し、「連絡を一日に一回取ればいい方だった」と返す僕。
「ぜんぜん違うね」と笑う時間さえ愛おしかった。

その日、僕が彼女に伝えた「好き」は冗談に受け取られたのかもしれない。
ただ、僕も彼女もどこかで分かっているんだ。
今、この関係が変わることは全くない。
そんな関係が少し面白い。

また会える日まで。
好きになってよかった。好きだと言えてよかった。

大好きだと伝えたい

 

1周間前のことだ。アルバイトで偶然、噂の女子大生(春から欧州留学する子)と働いた。如何せん、たまたまが多い。

 

 

いつもは早々に帰宅する店長も、この日は事務仕事のため夜まで働いていた。

だからと言うべきか、僕はふたりを飲みに誘った。

 

おそらく予定の都合上、これが最初で最後の機会だった。留学まで多忙な彼女と、夜は働かない店長、そして僕。なんとも奇妙な組み合わせで、皆が「新鮮だ」と口を揃えた。

 

会は盛り上がりに盛り上がった。その数日前に開かれた、バイト先を去る男の子のための送別会よりも会話に花が咲いた。

 

夢を追いかける姿、少し適当なところ、あっけらかんとしていて、なぜか低い自己評価。彼女は僕にとってあまりにも魅力的だった。いや、もともとそのような性格は知っていたのだ。ただ、君のそういう部分が好きだと口に出す度に、僕は彼女に引きこまれていった。

 

平日ということもあり、2次会を終えて3人は解散した。それから1週間、僕は非常に落ち着かなかった。迫り来る学会と、旅立つ彼女が頭にちらつき、毎日のように悪夢にうなされた。

 

そして昨日。彼女と働く最後の日がやってきた。何もかもがいつもどおりだった。自分でも後悔するくらいに。

お餞別のお菓子を渡して別れたが、僕は言いたいことを何も言えなかった。どこかで次の機会があると思っていたのだ。

 

多忙な彼女に次はない。

 

「旅立つから好きになってしまった」のか、「旅立つから好きだと気づいた」のか。僕はどうするべきなのか。これは恋なのか否か。

 

だから3月は嫌いなんだ。次から次へと別れがやってきて、少しの考える猶予もありゃしない。

 

店長は「それは恋だ」と言った。どうなんだろう。ただ、僕はすごく彼女のことが好きなのだ。学会が終わったら言おう。旅行も何もかもキャンセルして、伝えるべきことを伝えないと。

 

僕は、3月が好きになれるだろうか。