儚さは白

白は始まりの色。

恵那山(神坂峠−広河原ルート周回)

再来週に予定されてる「人が少ない山に登る会(二名)」に備えて、八月の十勝岳以来となる登山へ行ってきました。

先日にようやくカメラを買い直し、やっとこさ休みも来て、そんなこんなで選んだ行き先は恵那山。

いつもの如く地図を眺めていたら、中央アルプスからも南アルプスからも独立したところに山のピークが。その立ち位置が良いですねって、そんな感じで今回は恵那山に決定したわけ。

神坂峠登山口に着いたのは午前6時前。サイドブレーキ引きながら高速をずっと走ってたり、登山靴に紐通してなかったりで、登る前にもう家へ帰ろうかと思い始めてた。そんなときに駐車場から見た朝日がとても綺麗だったから、よし頑張るぞ!と。気分は移ろうものだよね。

広河原ルートに比べたら登山者が少ないって聞いたから神坂峠からの登山道を選んだんだけど、かなりハードな山行になるって噂を聞いていた。

手前の山から登ることになるからアップダウンが多くて、そのせいで帰路も登りがキツいんだってさ。

だから設定したコースタイムは休憩を除いて往復で8時間を予定。6時にスタートして15時までに帰ってこられればいいと思ってた。

しばらく経つとルート分岐。

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そして恵那山。紅葉はもうちょっと先かな。

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振り返れば南アルプス(おそらく)も。かなり気持ちの良い登山になってきた。

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時折、色づいた葉も見受けられた。ちょっとは始まってるんだ、紅葉。

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それにしても今日はかなり調子がいい。休憩も全く取らずにスイスイ登れる。

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それでも最後の急登だけは精神的にツラかった。登っても登っても終わらぬ道。さらには風も強くなってきて、どうしようもないからあんパン食べながら登ってた。

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頂上まで3時間半。本当に絶好調だった。あの急登を下って戻るのはイヤだったので、突然に広河原ルートから帰ることにした。

事前情報で周回できることも掴んでたからね。そして看板の字の薄いこと(笑)

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山頂には展望のない櫓があるだけで、ほとんど何もない。もう下るしかないでしょ。

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実際、広河原ルートが山頂までの最短コースということでかなりの登山者とすれ違った。

11時くらいから登りはじめた人もいるみたい。広河原のコースタイムは登りで3時間くらいだと思う。でも駐車場に車を停めてから登山口まで林道を少し歩くから、トータルで見たらもう少し長くなるかも。

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こっちは神坂峠ルートよりも藪笹がすごい。有志の人たちが刈ってくれたらしく、刈ってなかったらどうなってたんだよ状態。

雨の翌日だと地面もぐちゃぐちゃだろうな、きっと。

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広河原ルートでも僅かながら眺望がある。槍ヶ岳まで見られるみたいな話も登山者から聞いた。

北から南までアルプスはずらっと見られる(らしい)。天気が良ければ富士山も見える(らしい)。

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麓まで下りてきても、まだ駐車場まで林道を歩かないといけない。道は二手に分かれていて、ここで進む道を間違えちゃった。

10分くらいで気付いて引き返したんだけど、そこからが今回の登山のハイライトだった。

林道はほぼ九割が登り。しかもアスファルト。まさかあの先まで行くんじゃ……おいおい本当に来ちゃったよ……えっ?まさかあの先まで……の繰り返しで精神的に参ってしまった。

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迷った時間含めて2時間くらい歩くことになり、絶対往復するべきだったよ!こんな道おかしいよ!って、泣きそうになりながら駐車場を目指してた。夏場だったらもっとキツかったに違いない。

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駐車場に戻ってこられたのは結局13時半。だからえっと……登りに3時間半(神坂峠)、下りに2時間(広河原)、さらに林道で2時間って感じになるのか。

全長は18キロくらいかな。迷子が完全に誤算だった。

帰りはクアリゾート湯舟沢っていう温泉へ。登山後の温泉は格別に気持ちいいけど、その後の運転が苦行になっちゃう。


登る度に再確認する。やっぱり単独登山もいいもんだ。

自分の歩く音、呼吸する音だけが耳を澄ますと聞こえてくる。それが凄く心地良い。

しかも普段は人見知りなのに、山ではちょっと違う自分になるのが面白い。どっちが本当の自分なのやら。

PEAKS10月号がひとり登山特集で、こんなことが書いてあった。

ひとりは寂しい。
そしてひとりはとても怖い。

しかし、「ひとり」はそのぶん、歓喜や感動を何倍にも増幅する。

夜は暗い。闇は怖い。雨は冷たい。岩は硬い。月は明るい。天は高い。空は青い。雲は早い。鳥は飛べる。オレは飛べない。太陽は照らす。すべてを照らす。山はデカイ。そしてそれは果てしない……。

そんなことを思い知るために、僕はアウトドアを旅している。そしてそれを100倍味わうために、僕はひとりで旅に出るのだ。

一部を抜粋したものだけど、このコラムには“友だちはいる。でも、ひとりで行くんだ。”っていう刺激的なタイトルがつけられている。

本当に果てしないよ。

一人でセルフタイマーを使って自分の写真を撮ってる時間、すごく果てしない。

誰かに見られていたら恥ずかしいし、しかも見切れてるってなんなのさ。撮り直し?そっちも恥ずかしいよ。ていうか見られてたよ、もう。

そうして僕はカメラをしまいました。