儚さは白

白は始まりの色。

聞いて欲しい話があるよ

 

僕は「つらい」とよく口にしてしまう。周りに誰もいないとき、小さく声に出してしまう。「つらい」を辞書で引くと、意味が3つあった。

 

  1. 他人に対して冷酷である。非情である。むごい。「―・いしうち」「―・く当たる」
  2. 精神的にも肉体的にも、がまんできないくらい苦しい。苦しさで耐えがたい。「―・い別れ」「いじめられて―・い目にあう」「練習が―・い」
  3. 対処が難しい。困難である。「―・い立場にいる」「その話をされると―・い」

 

おそらく、僕のいつも言う「つらい」は2だと思う。ただ、つらい気持ちになったとしても溜息をついたり、枕を抱いて眠りにつけば我慢することができる。

 

でも、ここ数日間抱えている「つらい」は1なのか2なのか、それとも3なのか、まったくわからない。四六時中、胸がドキドキしていて、横になっても唾液が喉を上がってきて気持ちが悪くなる。食欲もなく、朝夕にシリアルを、昼におにぎりを食べれば事足りる。胸のドキドキは、吐き気となって僕を襲う。だから僕は、あまり落ち着くことができないでいる。

 

こういうとき、誰かを頼ることができない、頼る人のいない自分を恥ずかしく感じてしまう。心のどこかにいつも寂しさを抱えている。だけれど、僕はそんな自分を隠して生きている。弱い自分を誰にも見せたくないと、そう思っているから。

 

明るく会話に参加しているときも、部屋の中で大声を出して下手くそな歌を歌っているときも、新しいことにチャレンジしようと決意したときも、僕は心の何処かに哀しさを感じている。それが素の自分でないことに気付いているから。

 

本当の僕は、内気で、引きこもりたがりで、保守的な人間だ。誰も知らない僕を、僕は知っている。一人で旅をするとき、ドライブをするとき、ベッドで目を瞑ってほっとするとき、僕は僕になる。誰も知らない僕になる。

 

大好きな森見登美彦氏の『恋文の技術』を読んだときから、僕は文通に憧れていた。今春、僕は奇跡的に文通を始めることができた。嬉しかった。そして僕は、手紙の中でなら本当の自分を出せるのではないかと考えた。遠く離れた町に住む顔も知らない相手だけが秘密の僕を知っている、そんな夢を見た。

 

100回 1000回 10000回叫んだって 伝わらない 届かない想いは

100日 1000日 10000日たった後で きっと誰かの心に風を吹かせるんだ

 

『革命』が起こる!パパパパパパパとファンファーレが鳴るはずだった。

 

でも結局、ファンファーレは鳴り響かなかった。僕は筆を執っても、自分を隠してしまった。知り合いのみならず、まだ見ぬ友人にさえ嘘をついていることに僕は負い目を感じている。僕は酷い人間だ。

 

数日前、スケジュール帳を眺めていたとき、僕はその相手と会える可能性を発見した。だからこそ僕は今つらいのだと思う。会わないという選択肢もあるだろう。顔だってまともに知らないのだ。この先も文だけで繋がり続けることは可能である。ただそれは、僕が偽の自分が書いた手紙とその罪悪感を一緒に封筒へ入れ続けることを意味する。だから僕は会って謝ろうと思う。本当の自分を知ってもらいたいと思っている。

 

受け入れてもらえるだろうか。僕はそのことについて考えるだけで少し憂鬱になり、つらさを感じてしまう。きっと僕は人の目のあるところでこの仮面を脱げないだろう。だけど、どうにかして「僕」を伝えたい。それまで僕はひたすら緊張感に襲われ、落ち着きもなく、寝付きが悪いまま過ごすのだ。

 

もしや、これは保守的な僕が変わろうとしているのだろうか。だとしたら、夜明けを待つ心に風を吹かせたい。革命だ。



追記

この記事、暗すぎる。